個人情報流出問題に見る、格差社会における犯罪の日常化

格差の固定化が進む日本で、犯罪は特別ではなく日常と一体になる

ベネッセの個人情報流出問題を考えている時に、とても興味深い動画を見つけました。

”岡田斗司夫”チャンネルより「【振込め犯罪結社より】岡田斗司夫が指摘する”日本の犯罪”のイタリア化」を紹介します。

振り込め詐欺を描いた書籍を取り上げて、この動画で語られていることは”日本において犯罪は特別な事でなく、日常の生活に溶け込んで一体化しつつある”ということです。

かつて日本は、社会民主主義の成功例と言われたように、終身雇用という雇用制度に守られた皆が中流以上の生活を送れる、貧富の格差が少ない国でした。

しかし、現在は労働者の１/３が非正規雇用となり、格差が広がると同時に貧困サイドに転落した人たちが再び立ち上がる事が難しい社会になりつつあります。

つまり、格差の固定化です。

その結果、金銭的に余裕のある”持ってる”人から、”持たない人”が奪う事に対して犯罪意識を持たない層が生まれてきています。

かつて犯罪を犯す組織と言えばヤクザのような暴力組織でしたが、いまは誰が犯罪組織に所属しているか見えないほど巨大組織化し、社会に広く浸透していて、なおかつ、普通の人が犯罪組織に所属している可能性があるとこの動画では指摘しています。

まともな会社が実は・・・という事もある。

振込め詐欺の元となる名簿を作成する”名簿屋”という業者がいるようですが、その名簿の元データを提供しているのが”フロント企業”といわれる会社だそうです。

その会社も従来のようなヤクザが元締めで隠れ蓑に使うような会社ではなく、相続問題を取り扱う法律事務所や、バリアフリーのリフォーム業者として普通に営業していたり、介護施設を運営する会社であったりと、本業を真面目にやっている会社だそうです。

あるいは、真面目な会社でも従業員に犯罪組織に所属する者がいれば、その者によって個人情報はいともたやすく流出してしまいます。

悪い元締めがいて、その手下に実行させるという犯罪組織ではなく、格差社会で底辺に位置する普通の人たちが「仲間として協力しあって犯罪ビジネスを営んでいる」という形態に変わってきているのです。

そう、犯罪を犯すのではなく、ビジネスとして継続的に営んでいるのです。

当たり前のように、犯罪が日常に溶け込む（犯罪の日常化）が日本で進行しつつあります。

社会の底辺層に位置する派遣社員が、個人情報を外部に売るというベネッセの問題も、この話を聞いた後だと「なるほど」と思わされます。

ベネッセなど大手企業の個人情報に対する意識の低さについてはこちら「ベネッセの個人情報流出問題と日本企業の不誠実な体質」で書いています。

非正規率の高さや、所得格差の拡大・固定化は、日本社会が表の法治国家と、裏の地下経済との二重構造になるマフィア化の予兆が見えてきていると、岡田氏は動画で指摘しています。

私も貧困層の一員として感じるのは、貧乏だと負の感情が沸き上がってきます。

この感情は恐ろしいほどの力でもって、自分自身を突き動かします。

つらい貧困せいかつから合法的な手段で抜け出そうとする人は良いですが、安易な方法で抜け出そうとする人も出てくるでしょう。

出口の見えない派遣という低賃金と不安定な労働の中で、目先の金に目が眩んで犯罪に手を出してしまう人が出るのも致し方ないと思います。

そういうリスクも踏まえたうえで、雇用の格差を考えていかねばなりません。

正規雇用者を保護し、非正規で働く貧困層との格差を固定してしまうと、そのまま犯罪社会への道を突き進むことになるのは世界の格差が大きい国を見れば解る事でしょう。

日本の進む未来には、少子高齢化や犯罪の日常化など、困難が多く待ち受けています。

ここに、賃金が安いからと言って外国人労働者を大量に受け入れたらどんな事になるのでしょうか。新たな貧困層を産み、貧困者達のスラムが形成されていくのでしょうか。

考えるだけでも恐ろしい事です。

私は犯罪を肯定するわけではありませんが、貧富の差が広がれば犯罪は増えます。
悲しい事ですが、それが現実ですよね。
貧困が広がり、格差が産まれれば犯罪がビジネスとして成り立つ社会になる。

今や、被害規模200億円と言われる振込め詐欺。
警察は全く止める事が出来ていないため、もはや日常に浸透してしまいました。
犯罪組織の実態すら掴めていないようです。

しょうがないですよね、今の日本を創ってきた先輩たちが選んだ道なのですから。



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